ガンダペディア
Advertisement

シャア・アズナブル (Char Aznable) は、「ガンダムシリーズ」のうち、アニメ機動戦士ガンダム』にはじまる宇宙世紀を舞台にした作品に登場する、架空の人物である。本名はキャスバル・レム・ダイクン (Casval Rem Deikun)。(池田秀一

モビルスーツパイロット・指揮官・思想家として、類い希な能力を発揮した人物。宇宙世紀を舞台とした「ガンダムシリーズ」の最重要人物の一人である。シリーズ一作目の『機動戦士ガンダム』では、自信に満ちた言葉とそれに見合う実力で当時の視聴者にインパクトを与えた。


経歴及び劇中での活躍

ガンダムシリーズには多数の派生作品があり登場人物の事蹟も異なる場合があるが、ここでは特に断りのない限り、「正史」とされるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Ζガンダム』及びアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における事蹟を基準に記す。

一年戦争以前から一年戦争前半までの経歴は、主にテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の企画時に作られた設定や富野由悠季著の小説『機動戦士ガンダム』による設定を整理して、アニメ版の設定に組み込んだ『モビルスーツバリエーション』 (MSV) などの書籍による。なお、小説版は完全にパラレルワールドにあたるため、そのまま参考にすることはできない。また、角川書店発行の漫画雑誌ガンダムエース」創刊号より連載されている安彦良和漫画機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は映像作品ではないため、サンライズにおける公式設定とはいえないが、扱いとしては近年の公式設定に最も近いものとはいえる。ただし、アニメ版と設定が大きく異なる部分も多いため、注意が必要である。

一年戦争終結後(ア・バオア・クー脱出)からエゥーゴ結成時代の映像化も特にされておらず、『機動戦士Ζガンダム』にてワンカットが描かれたのみである。そのため従来は文字による設定や、小説版『機動戦士Ζガンダム』おける細部の描写で判断するしかなかったが、「ガンダムエース」に連載された北爪宏幸の漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』は本格的にこの期間を描いている。これも同様にアニメ作品ではないためサンライズにおける公式設定ではないが、やはり扱いは公式設定に最も近い。その他、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズやプレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』などでも短いながら映像が描かれている。

第一次ネオ・ジオン抗争から第二次ネオ・ジオン抗争開戦以前においても映像化されておらず、また、準公式的な扱いをされている作品もないため、諸説入り乱れている。一応はプレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などでも短いながら映像が描かれている。

生誕から幼少時代

宇宙世紀0059年、ジオン共和国創始者、ジオン・ズム・ダイクントア・ダイクン(『THE ORIGIN』ではアストライア・トア・ダイクン)の子として生まれる。セイラ・マス(本名{あるいは旧名}アルテイシア・ソム・ダイクン)は実妹。

宇宙世紀0069年ジオン・ズム・ダイクンの死後、ザビ家による迫害を受け地球に逃れる。この頃は、父ジオンのよき理解者であったジンバ・ラルの庇護の下、南欧のマス家に養子入り(あるいは、ジンバがマス家の名を購入して改名)し、エドワゥ・マス (Edwow Mass) を名乗る。記録上、父ジオンは病死とされているが、実際はデギン・ソド・ザビらによる暗殺と見ており(父がデギンを暗殺者として名指ししようとした動作を、後継者に指名したように装ったとジンバ・ラルやシャア(およびセイラ)は考えている)、ザビ家への復讐を誓う。

エドワゥ・マスの名はTVシリーズ放映当時には設定されておらず、小説版で初めて登場した。また今のところ、以後の映像作品にも使われていない。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ジオン・ズム・ダイクン急死、サスロ・ザビ暗殺などの政変により、サイド3(この作品中では当初「ムンゾ自治共和国」と称していた)に居場所を失ったキャスバルとアルテイシアの兄妹は、ランバ・ラルクラウレ・ハモン一党の手助けによりジンバ・ラルと共に地球へ亡命する。しかし生母アストライア・トア・ダイクンとは生き別れとなってしまう。マス家当主テアボロ・マスの元に養子入りするが、ジンバが独断でクーデターを謀ったためにキシリア・ザビの刺客に襲われジンバは死亡、テアボロも重傷を負う。彼らの窮状を見かねたシュウ・ヤシマミライ・ヤシマの父)の提案で、彼が所有するサイド5のテキサスコロニーへ移住することとなる。
なおこの頃のキャスバルの愛慕の対象は、神憑りな政治的扇動者である父ジオンではなく、彼とその命を狙うザビ家によって薄幸な人生を辿る母アストライアであり、彼女が最終的に報われぬ死を迎えたことでキャスバルはザビ家への憎悪を強めた、と安彦は解釈している。のちに見いだしたララァを愛したことも、彼女の中に母の面影を見たためであるとする。

サイド3潜入時代

宇宙世紀0074年シャア・アズナブルと再び名を変えサイド3に潜入、ジオン士官学校に入学。士官学校時代にガルマ・ザビと出会い親交を結ぶ。優秀な成績を修め、首席で卒業できたがガルマにそれを譲り次席で卒業する。宇宙世紀0078年、卒業とともにキシリア・ザビ揮下の教導機動大隊に入隊。

その後、ジオン公国国防軍がドズル・ザビ揮下の宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ揮下の突撃機動軍の2軍に分裂したことに伴い、宇宙攻撃軍に入隊した。ジオン公国軍における軍籍番号は「PM0571977243S」である。

ジオン公国では正体がばれるのを隠すため、常に仮面をつけて顔を隠している。これは顔に火傷があるためと本人は説明しているが、実際に額にそのような傷は見られない。

なお誕生日11月17日とされることが多いが、9月27日とする説もある。一説によれば11月17日がキャスバルの、9月27日が本物のシャア・アズナブルのものとされるが、キャスバルがシャアの戸籍をどのように手に入れたかは諸説入り乱れておりはっきりしない。一般的には死亡したシャア・アズナブルという人物の戸籍を不正に入手したとされるが、アズナブル家に養子に入ったなどとする説も存在する。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、キャスバルがシャアを名乗った理由として「シャア・アズナブルという人物が元々別に存在した」という説を取っている。ここで登場する「本物の」シャア・アズナブルはテキサスコロニーの管理者の息子で、キャスバルと瓜二つの風貌を持ち、同コロニーへ移住した際に出逢って友人となった。やがてシャアがサイド5の学校を中退しジオン士官学校を受験、合格にいたったのを知ったキャスバルは、彼に同行を申し出る。それを察知したキシリアは部下にキャスバルの暗殺を命じるが、既に承知していたキャスバルは旅立ちの日に空港で計略によってシャアと入れ替わる。結果本来のシャアはシャトル爆破工作でエドワゥ・マスとして命を落とし、キャスバルが以後シャア・アズナブルを名乗りジオン士官学校へ入学した。
やがて教練過程を経て予備任務に就くが、ある事件により連邦の治安部隊がジオンを制圧しようとした際、ガルマを焚き付けて同僚らとこれを奇襲、責任を負い学籍を抹消され除隊する。この時期に地球に降りてジャブロー建設工事の進んでいたアマゾンマナウスに滞在、ジャブローの情報収集や建設反対派との関係構築、モビルスーツの前身であるモビルワーカーの操縦の習熟など後の行動の下準備を進めている。またここでララァ・スンと出会い彼女を保護している。その後モビルスーツのテストパイロットとして軍に復帰、ミノフスキー博士亡命事件の際には史上初となるモビルスーツ同士の戦闘にも参加している。

一年戦争前半

宇宙世紀0079年1月、地球連邦政府との「一年戦争」が勃発。ドズル・ザビが率いる宇宙攻撃軍に所属し、モビルスーツのエースパイロットとして活躍。愛機初期量産型ザクII(型式番号:MS-06C)をパーソナルカラーである赤に塗装し、ルウム戦役ではたった一人で5隻もの戦艦[1]を沈め、「シャアの五艘飛び」と賞賛されるとともに赤い彗星の異名を得、その名は連邦軍の末端兵士にまで轟き恐怖の存在となる(この伝説に関しては諸説あり、彼の戦功を妬む者達はより戦果を低く見積もる傾向にある)。またこの功績により中尉から少佐二階級特進する。

その後、ドズルがルウム戦役で旗艦としていたムサイ級旗艦型軽巡洋艦ファルメルを受領し、モビルスーツ中隊長の任に付いた。乗機も量産型ザクII(型式番号:MS-06F)、指揮官用ザクII(型式番号:MS-06S)とその時々の最新機種が与えられ、「通常の三倍の速度」の性能を引き出すと恐れられた。

一年戦争後半(『機動戦士ガンダム』)

同年9月、サイド7で連邦軍が極秘にモビルスーツと新艦を開発しているとの情報をつかむ。偵察に出した部下が、ザクもろともガンダムに撃破(史上初となる武装モビルスーツ同士の戦闘)されると、自らコロニーに潜入しホワイトベースに避難し従軍していた妹のアルテイシア(セイラ)と再会、そして生涯のライバルとなるアムロ・レイのガンダムと初対決を繰り広げる。この時シャアは始終アムロを圧倒するものの、ガンダムを目のあたりにしその性能に驚嘆する[2]。その後、ホワイトベースとガンダムの奪取もしくは破壊を命じられ、サイド7を脱出したホワイトベースを追跡。ホワイトベースの逃げ込んだ連邦軍宇宙要塞ルナツーへ潜入し破壊工作を行うなど、幾度となく攻撃を仕掛けるが失敗。多数の部下とザクを失う。しかし、ホワイトベースの大気圏突入を狙った奇襲の際、友軍を壊滅させられながらもジオン勢力下に降下させることに成功する。

地球降下後シャアは幼馴染のガルマ・ザビと共にホワイトベースの撃破を目指し、共闘するがザビ家への遺恨はけっして忘れようとせず隙を見て彼を謀殺する。そのさい敵のホワイトベースとガンダムを利用している。ガルマの死は彼を溺愛していたドズルの怒りを買い、ガルマを守れなかった責任により宇宙攻撃軍を罷免、左遷される。なお、この頃にはすでにキシリアからの使いが彼と接触している。

富野の原作では左遷され各地を転々としていた際、インドにてララァ・スンと出会い、ニュータイプの素質を見いだしたとされる。このことについては富野由悠季著の小説『密会〜アムロとララァ』にて詳しく書かれている。シャアは、ララァの中に見出した母性に思慕の情を抱くと共に彼女を寵愛し、また優れたニュータイプである彼女を傍に置くことによって、自分の感覚を研ぎ澄ませようとした。しかし、後にパプテマス・シロッコに「ニュータイプのなりそこない」と言われたように(能力が劣っているという意味かどうかはわからないが)、アムロにニュータイプとしての能力に差をつけられるようになり、またララァもそのアムロとより強く惹かれ合うようになる。シャアはそのことに対して嫉妬を覚え、後述するように、やがて三者は悲劇的な結末を迎えることになる。

同年11月、キシリア・ザビの手解きでキシリア率いる突撃機動軍に編入、大佐昇進とともにマッドアングラー隊の司令に就任する。ベルファストおよび大西洋上でのホワイトベース隊との戦闘(シャア自身は攻撃には直接参加していない)の後、追尾し、連邦軍本部があるジャブローへの進入口を発見。この情報をもとにジオン軍はジャブローへ総攻撃を仕掛けるが、連邦軍とホワイトベース隊の反撃に遭い、失敗に終わる。シャア自身は潜入部隊をのせたアッガイ数機を率いて(目立つ赤いパーソナルカラーのズゴックに搭乗し、いつもの軍服のまま)ジャブローへと潜入。破壊活動を行っていた際に偶然セイラと二度目の再会を果たし、彼女に軍から離れるよう諭して別れる。この後連邦軍守備隊と交戦し彼らを圧倒するものの、アムロのガンダムとの戦闘で腕部を破壊され、バランサーに不具合が生じたため撤退。ガンダムのパイロットの成長に驚きながらジャブローを後にする。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、オデッサとジャブローのエピソードが前後した関係でシャアの遍歴も変化している。ガルマ戦死の責により除隊した後、ジャブロー近辺でキシリアに捕えられ、原隊復帰の交換条件としてジャブローへの突破口を開く事を申し出る。ジャブロー反対派の原住民の手引きによりジャブローへ潜入、攻撃隊を侵攻させる事に成功する。その後マッドアングラー隊を率いてベルファストへ向かうホワイトベースを追い、再度赤いザクでガンダムに挑むも撃破されて脱出、マッドアングラー隊も解散したためオデッサでは不参戦となった。

同年12月、ホワイトベースを追ってザンジバルで地球を離脱。かつての部下ドレンの率いるキャメル艦隊と共にホワイトベースを挟撃しようとするが、同艦隊はシャアが駆けつける前に全滅。シャアのザンジバルも攻撃を開始するものの被弾し、撃破にはいたらなかった。サイド6においてアムロと初めて直接対面するが、シャアは彼がガンダムのパイロットである事に気づかなかった。12月末、テキサスコロニーでマ・クベとアムロの戦いを見る。マ・クベが敗れるのを見届けた後、アムロと交戦するも撤退する。この頃からニュータイプに覚醒しつつあるアムロに一方的にやられるようになる。またテキサスでは、セイラとも再会し、自分の形見として金塊を贈る。その後、ララァ・スンのモビルアーマーエルメスと共に出撃するがアムロには敵わず、ララァは、ガンダムのビームサーベルからシャアをかばい戦死する。この出来事はシャアとアムロの大きな遺恨となり、その後の二人の人生と、彼らの間の確執を決定づける。

宇宙要塞ア・バオア・クーでの決戦では、彼もニュータイプとして覚醒してきたためかモビルスーツ・ジオングでガンダムと互角に戦い相討ちになる。そして要塞内部でアムロと生身で戦うが駆けつけたセイラの説得中に爆発に巻き込まれ、戦いは中断される。この戦いでアムロの剣を額に受け(ヘルメットを被っていたため致命傷は免れる)、その傷跡は第二次ネオ・ジオン抗争で消息不明になるまで消えることは無かった。そして、やはりザビ家の人間を許せぬと判断したシャアはバズーカを持ってキシリアの元へ。要塞から脱出し始めたザンジバルの司令室にキシリアがいることを知ると、船外から指令室の真正面に飛び立ち、指令席に座ったキシリアに敬礼をする。キシリアはシャアを確認するのだが、その直後にシャアにバズーカで狙撃されて頭を吹き飛ばされてしまう。その後シャアは生死不明となる。劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では、キシリア殺害後に敗残兵とともに要塞を脱出、グワジン級戦艦に乗り逃亡している。

ア・バオア・クー脱出

ア・バオア・クーからの脱出に関しては、1986年に勁文社より発売された山口宏著のゲームブック『機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星』と、漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて詳しく描かれているが、いずれも解釈は異なる。ア・バオア・クー攻略戦の時点におけるマ・クベの生死から、前者はテレビアニメ版を、後者は劇場版をベースにしている。

『最期の赤い彗星』では数人の部下と共にマ・クベの旗艦アサルムを奪取しア・バオア・クーを脱出。キシリアの腹心であるトワニングの送り出すペズンモビルスーツの追撃をかわしながらグラナダを経由してアクシズに向かっている。対して、『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、マ・クベと協力してミネバ・ザビを警護しながらア・バオア・クーを脱出し、直接アクシズへ向かっている。
逃亡に使用したグワジン級は、『めぐりあい宇宙編』の絵コンテではグワランとされるが、『最期の赤い彗星』ではアサルムとされ、ラポート発行の書籍『機動戦士Ζガンダム大辞典』でもこちらの説を採っている。
また、岩田和久著の漫画『機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者』(講談社発行の漫画雑誌『ガンダムマガジン』2号に収録)によれば、ア・バオア・クー脱出の際にガンダムの破片を持ち帰っており、後にガンダリウムγの開発に寄与することとなる。

アクシズ時代

宇宙世紀0081年3月、一年戦争の終結の後に連邦に投降しなかった残軍の最大のグループであるシャア達は、火星木星の間(アステロイド・ベルト)にある、小惑星基地アクシズへ逃亡、潜伏する。ここでミネバを補佐していたニュータイプの少女ハマーン・カーンと恋仲になる。

宇宙世紀0083年頃にはアクシズが地球連邦軍による襲撃を受け、戦闘に参加している。このことは近藤和久著の漫画『JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083』(単行本『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に収録)や『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて描かれているが、いずれも解釈は異なる。

宇宙世紀0083年8月、指導者であったハマーンの父マハラジャ・カーンが死没すると、その後継者としてハマーンを推挙する。ハマーンがミネバの摂政に就任してザビ家の再興を進めるが、2人は政治的に意見が対立するようになり、ついに地球圏の偵察を名目にアクシズを離れる。

アクシズ離脱については『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』でも描かれている。水原賢治の漫画『機動戦士ガンダム0084 Psi-Trailing』(バンダイ発行の雑誌『MS SAGA』2号に収録)でも描かれているが、公式設定とは矛盾がある。

エゥーゴ結成時代~第一次ネオ・ジオン抗争及びそれ以降

詳細はクワトロ・バジーナを参照

第二次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)

宇宙世紀0092年12月、新生ネオ・ジオンの総帥シャア・アズナブル(小説ではシャア・ダイクンとも名乗っている)として再び姿を現し、幾度にも渡る戦争を経験しながら、旧態依然としてスペースノイドに弾圧を続ける地球連邦政府に対しての攻撃を示唆する。ここでもジオン・ダイクンの遺児にして旧ジオンのエース「赤い彗星」でもあった彼の名声は絶大で、旧ネオ・ジオン軍の残党や、ナナイ・ミゲルギュネイ・ガス等の優秀な士官を集め、小規模であるが精鋭ともいえる戦力を保持する。そして、しばらく戦火から遠ざかっていた連邦政府に対し、自らの艦艇をもって地球圏にスウィート・ウォーターの占拠を宣言する。

宇宙世紀0093年2月末、テレビのインタビューで連邦政府に事実上の宣戦布告をする。

同年3月、艦隊を率いてスウィート・ウォーターを出発。アムロ・レイブライト・ノアが所属する連邦軍・外郭新興部隊「ロンド・ベル」の抵抗に遭うものの、自らモビルスーツ・サザビーで出撃し、小惑星5thルナを連邦軍本部所在地であるチベットのラサに落下させることに成功する。

その後、サイド1のロンデニオンにて連邦軍高官アデナウアー・パラヤと、武装解除を条件にアクシズを譲り受けるという偽の和平交渉を行うと、直ちにルナツーを強襲し配備されていた核兵器を奪取。そして、地球に核の冬をもたらすべく、地球へのアクシズ落としを決行する。アクシズを守るため、自分を慕うクェス・パラヤも戦わせるなどロンド・ベルと必死の激戦を繰り広げる。

宇宙世紀0093年3月12日、νガンダムを駆るアムロと最後の決着をつけるべくサザビーで戦うが敗れる。その際、脱出ポッドを捕まえられ、アクシズの落下を抑えるアムロと共にサイコフレームの光の中に消えていく。そしてアクシズは軌道を変え、作戦は失敗に終わる。その後の二人の行方は一切不明とされている(劇中でアムロとシャアの最期が描かれていない為「行方不明」とされているが、後の富野と古谷徹との対談では、富野が「死にましたよ」と両者の死を広言している)。


シャアを取り巻く人々

シャアは、そのずば抜けた実力で部下からは絶対的な信頼と畏怖を受けており、後にはその出自も加わって絶大カリスマ性をも身につけている。これによって第二次ネオ・ジオン抗争では多くの新生ネオ・ジオン兵士を魅了した。

シャアが消息を絶ってからも彼の影響は少なからず残り、特にスペースノイドの間にはシャアを連邦の圧政に対抗した英雄と見なす傾向もあった。これを元にした富野の小説があり、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ではシャアの思想を受け継ぐマフティー・ナビーユ・エリンなる人物が登場する。[3]また、『機動戦士ガンダムUC』では、「シャアの再来」と呼ばれるフル・フロンタルが登場。素顔や口調はシャア・アズナブルに酷似しており、額にはシャアが一年戦争終盤アムロによってつけられた傷と同様の傷跡がある。一方でフロンタル本人はシャアを「敗北した人間」と称する。

宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発された。2号機にはシャアの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター「C.A」が搭載されている。のちに、宇宙世紀120年に2号機はジオン及びネオ・ジオンの残党であるオールズモビル(火星独立ジオン軍)に強奪され、改造。ア・バオア・クーの最終決戦と同様に1号機と対決するが、大破(後にガンダムF90IIとして、生まれ変わっている。)。

主な搭乗機

機動戦士ガンダム

  • MS-06S 指揮官用ザクII(シャア専用ザク)
  • MSM-07S ズゴック後期型(シャア専用ズゴック)
  • YMS-14 (MS-14S) ゲルググ先行量産型(シャア専用ゲルググ)
  • MSN-02 ジオング
  • その他
    • ルッグン(第11話にて)
    • MS-05 旧ザク(専用機、漫画『THE ORIGIN』に登場)
    • YMS-07B グフ(専用機、絵本版に登場)
    • MS-09RS リック・ドム ビームバズーカ試験型(専用機、小説版に登場)
    • MSM-04 アッガイ岡崎優の漫画版『機動戦士ガンダム』に登場)
    • キケロガ(トミノメモより)
    • MAX-03アッザム(「トミノメモ」より。宇宙仕様、キシリアと同乗)
    • MS-17 ガルバルディα (「トミノメモ」より)
    • ガラバ(「トミノメモ」より)

機動戦士Ζガンダム

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

その他

  • モビルスーツバリエーション (MSV) (設定のみ)
    • MS-06C 初期量産型ザクII(専用機)
    • MS-06F 量産型ザクII(専用機)
  • 機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星(ゲームブック)
    • MS-06R-2 高機動型ザクII 後期型
    • MS-09R リック・ドム
  • 機動戦士ガンダム THE ORIGIN(漫画)
  • 機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像(漫画)
    • ゼロ・ジ・アール
    • MS-14U ゲルググ (外宇宙用)
    • パーフェクト・ジオング
  • JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083
    • MS-15PLUS (MS-15S) ギャンEX
  • 大河原邦男コレクション (M-MSV) (小説『モビルスーツコレクション・ノベルズAct.5 宿敵の幻影』に登場)
    • RX-098 プロトタイプ・リック・ディアス(シミュレーター)
  • 機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者(漫画)
    • MSA-099-2 リック・ディアスII
  • サイドストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ(漫画)
  • 機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス(漫画)
    • スザク (S・ザク・ザクIII 改・改)

など、例を挙げればきりがない。

また、以下のようにシャア専用機として開発されたが実際に搭乗していないとされるものもある。

  • SDガンダム GGENERATIONシリーズ(ゲーム)
    • AMA-002S ノイエ・ジールII
  • 機動戦士ガンダムΖΖ

さらに、以下のようなif設定(架空戦記設定)も存在する。

  • 機動戦士ガンダム ギレンの野望シリーズ(ゲーム)
    • YMS-15 (MS-15S) ギャン先行量産型(専用機)
    • RX-78/C.A. キャスバル専用ガンダム

主な搭乗艦

『機動戦士ガンダム』

  • ファルメル(シャア専用ムサイ、専用艦として)
  • マッド・アングラー(艦隊旗艦として)
  • ザンジバル(専用艦として)

『機動戦士Ζガンダム』

  • アーガマ(搭乗員として)
  • ラーディッシュ(搭乗員として)
  • アウドムラ(搭乗員として)

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

ギャラリー

機動戦士ガンダム

機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

脚注

  1. この5隻には厳密に戦艦であるマゼラン級宇宙戦艦だけでなく、サラミス級宇宙巡洋艦その他大型戦闘艦艇も混じっていた可能性がある。現実世界においてもこのような兵器種別のいい加減な混同はよくあることである。よって、キャッチーなコピーとして「5隻の戦艦」と流布されていた可能性や、ジオン公国による宣伝活動の結果である可能性も否定できない。いずれにしても現実世界に当てはめてみれば超人的な戦果である事は間違いない。
  2. 戦闘自体は圧倒していたものの、ザクマシンガン及び白兵戦闘ではガンダムの装甲を破壊することは困難であった
  3. 皮肉にもその正体はブライトの息子ハサウェイ・ノアであった。

関連項目

テンプレート:MSG

テンプレート:Cda

Advertisement