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{{Infobox Character
+
{{Infobox 登場人物
  +
|name =
| 画像ファイル = Char_a.gif
 
  +
|image =
| 画像サイズ = 309px
 
| 画像コメント = 軍服1
 
| 名前 = Char Aznable
 
| ふりがな = シャア・アズナブル
 
| 所属 = {{G Flagicon|ジオン公国軍|アクシズ|ネオ・ジオン}}
 
| 階級 = 総帥(大佐)
 
| 生年月日 =
 
| 年齢 = 20歳<br />33歳
 
| 性別 = 男性
 
| 出身地 = サイド3
 
| 配偶者 =
 
| 家族 = [[ジオン・ズム・ダイクン]]<br />[[トア・ダイクン]]<br />[[アルテイシア・ソム・ダイクン]]
 
| 技能 = MSパイロット、部隊指揮
 
| 愛称 = 赤い彗星
 
| 搭乗艦 = [[ファルメル]](シャア専用ムサイ、専用艦として)<br />[[マッド・アングラー]](艦隊旗艦として)<br />[[ザンジバル]](専用艦として)<br />[[レウルーラ]]
 
| 搭乗機 = [[MS-06S シャア専用ザクII]]<br />[[MSM-07S シャア専用ズゴック]]<br />[[YMS-14 シャア専用ゲルググ]]<br />[[MSN-02 ジオング]]<br />[[ルッグン]]<br />[[サザビー]]
 
| 声優 = [[池田秀一]]
 
}}
 
'''シャア・アズナブル''' ('''Char Aznable''') は、「[[ガンダムシリーズ]]」のうち、[[アニメ]]『[[機動戦士ガンダム]]』にはじまる[[宇宙世紀]]を舞台にした作品に登場する、[[架空]]の人物である。本名は'''キャスバル・レム・ダイクン''' ('''Casval Rem Deikun''')。([[声優|声]]:[[池田秀一]])
 
 
[[モビルスーツ]]パイロット・指揮官・思想家として、類い希な能力を発揮した人物。宇宙世紀を舞台とした「[[ガンダムシリーズ]]」の最重要人物の一人である。シリーズ一作目の『機動戦士ガンダム』では、自信に満ちた言葉とそれに見合う実力で当時の視聴者にインパクトを与えた。
 
 
<!--GFDLと日本の著作権法の観点から、劇中の台詞を(一言であっても)転載出来ないことに注意してください。詳しくは[[Wikipedia:著作権]]ほかを参照してください-->
 
 
== 経歴及び劇中での活躍 ==
 
ガンダムシリーズには多数の派生作品があり登場人物の事蹟も異なる場合があるが、ここでは特に断りのない限り、「[[正史]]」とされる[[テレビアニメ]]『機動戦士ガンダム』、『[[機動戦士Ζガンダム]]』及び[[アニメーション映画]]『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』における事蹟を基準に記す。
 
 
[[一年戦争]]以前から一年戦争前半までの経歴は、主にテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の企画時に作られた設定や[[富野由悠季]]著の[[小説]]『機動戦士ガンダム』による設定を整理して、アニメ版の設定に組み込んだ『[[モビルスーツバリエーション]]』 (MSV) などの書籍による。なお、小説版は完全にパラレルワールドにあたるため、そのまま参考にすることはできない。また、[[角川書店]]発行の[[漫画雑誌]]「[[ガンダムエース]]」創刊号より連載されている[[安彦良和]]の[[漫画]]『[[機動戦士ガンダム THE ORIGIN]]』は映像作品ではないため、[[サンライズ]]における公式設定とはいえないが、扱いとしては近年の公式設定に最も近いものとはいえる。ただし、アニメ版と設定が大きく異なる部分も多いため、注意が必要である。
 
 
[[一年戦争]]終結後([[ア・バオア・クー]]脱出)から[[エゥーゴ]]結成時代の映像化も特にされておらず、『機動戦士Ζガンダム』にてワンカットが描かれたのみである。そのため従来は文字による設定や、小説版『機動戦士Ζガンダム』おける細部の描写で判断するしかなかったが、「ガンダムエース」に連載された[[北爪宏幸]]の漫画『[[機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像]]』は本格的にこの期間を描いている。これも同様にアニメ作品ではないためサンライズにおける公式設定ではないが、やはり扱いは公式設定に最も近い。その他、ゲーム『[[機動戦士ガンダム ギレンの野望]]』シリーズや[[プレイステーション]]ゲーム『機動戦士Ζガンダム』などでも短いながら映像が描かれている。
 
 
第一次ネオ・ジオン抗争から第二次ネオ・ジオン抗争開戦以前においても映像化されておらず、また、準公式的な扱いをされている作品もないため、諸説入り乱れている。一応はプレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などでも短いながら映像が描かれている。
 
 
=== 生誕から幼少時代 ===
 
宇宙世紀0059年、[[ジオン公国|ジオン共和国]]創始者、[[ジオン・ズム・ダイクン]]と[[トア・ダイクン]](『THE ORIGIN』ではアストライア・トア・ダイクン)の子として生まれる。[[セイラ・マス]](本名{あるいは旧名}アルテイシア・ソム・ダイクン)は実妹。
 
 
[[宇宙世紀]][[0069年]]、[[ジオン・ズム・ダイクン]]の死後、[[ザビ家]]による迫害を受け[[地球]]に逃れる。この頃は、父ジオンのよき理解者であった[[ジンバ・ラル]]の庇護の下、南欧のマス家に養子入り(あるいは、ジンバがマス家の名を購入して改名)し、'''エドワゥ・マス''' ('''Edwow Mass''') を名乗る。記録上、父ジオンは病死とされているが、実際は[[デギン・ソド・ザビ]]らによる暗殺と見ており(父がデギンを暗殺者として名指ししようとした動作を、後継者に指名したように装ったとジンバ・ラルやシャア(およびセイラ)は考えている)、ザビ家への復讐を誓う。
 
 
:エドワゥ・マスの名はTVシリーズ放映当時には設定されておらず、小説版で初めて登場した。また今のところ、以後の映像作品にも使われていない。
 
: 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ジオン・ズム・ダイクン急死、[[サスロ・ザビ]]暗殺などの政変により、[[サイド3]](この作品中では当初「ムンゾ自治共和国」と称していた)に居場所を失ったキャスバルとアルテイシアの兄妹は、[[ランバ・ラル]]や[[クラウレ・ハモン]]一党の手助けにより[[ジンバ・ラル]]と共に地球へ亡命する。しかし生母アストライア・トア・ダイクンとは生き別れとなってしまう。マス家当主テアボロ・マスの元に養子入りするが、ジンバが独断でクーデターを謀ったためにキシリア・ザビの刺客に襲われジンバは死亡、テアボロも重傷を負う。彼らの窮状を見かねた[[シュウ・ヤシマ]]([[ミライ・ヤシマ]]の父)の提案で、彼が所有する[[サイド5]]のテキサスコロニーへ移住することとなる。
 
:なおこの頃のキャスバルの愛慕の対象は、神憑りな政治的扇動者である父ジオンではなく、彼とその命を狙うザビ家によって薄幸な人生を辿る母アストライアであり、彼女が最終的に報われぬ死を迎えたことでキャスバルはザビ家への憎悪を強めた、と安彦は解釈している。のちに見いだしたララァを愛したことも、彼女の中に母の面影を見たためであるとする。
 
 
=== サイド3潜入時代 ===
 
宇宙世紀[[0074年]]、'''シャア・アズナブル'''と再び名を変えサイド3に潜入、ジオン士官学校に入学。士官学校時代に[[ガルマ・ザビ]]と出会い親交を結ぶ。優秀な成績を修め、首席で[[卒業]]できたがガルマにそれを譲り次席で卒業する。宇宙世紀0078年、卒業とともに[[キシリア・ザビ]]揮下の教導機動大隊に入隊。
 
 
その後、ジオン公国国防軍が[[ドズル・ザビ]]揮下の宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ揮下の突撃機動軍の2軍に分裂したことに伴い、宇宙攻撃軍に入隊した。ジオン公国軍における軍籍番号は「PM0571977243S」である。
 
 
ジオン公国では正体がばれるのを隠すため、常に仮面をつけて顔を隠している。これは顔に火傷があるためと本人は説明しているが、実際に額にそのような傷は見られない。
 
 
なお[[誕生日]]は[[11月17日]]とされることが多いが、[[9月27日]]とする説もある。一説によれば11月17日がキャスバルの、9月27日が本物のシャア・アズナブルのものとされるが、キャスバルがシャアの戸籍をどのように手に入れたかは諸説入り乱れておりはっきりしない。一般的には死亡したシャア・アズナブルという人物の戸籍を不正に入手したとされるが、アズナブル家に養子に入ったなどとする説も存在する。
 
 
: 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、キャスバルがシャアを名乗った理由として「シャア・アズナブルという人物が元々別に存在した」という説を取っている。ここで登場する「本物の」シャア・アズナブルはテキサスコロニーの管理者の息子で、キャスバルと瓜二つの風貌を持ち、同コロニーへ移住した際に出逢って友人となった。やがてシャアがサイド5の学校を中退しジオン士官学校を受験、合格にいたったのを知ったキャスバルは、彼に同行を申し出る。それを察知したキシリアは部下にキャスバルの暗殺を命じるが、既に承知していたキャスバルは旅立ちの日に空港で計略によってシャアと入れ替わる。結果本来のシャアはシャトル爆破工作でエドワゥ・マスとして命を落とし、キャスバルが以後'''シャア・アズナブル'''を名乗りジオン士官学校へ入学した。
 
: やがて教練過程を経て予備任務に就くが、ある事件により連邦の治安部隊がジオンを制圧しようとした際、ガルマを焚き付けて同僚らとこれを奇襲、責任を負い学籍を抹消され除隊する。この時期に地球に降りて[[ジャブロー]]建設工事の進んでいた[[アマゾン]]・[[マナウス]]に滞在、ジャブローの情報収集や建設反対派との関係構築、モビルスーツの前身であるモビルワーカーの操縦の習熟など後の行動の下準備を進めている。またここで[[ララァ・スン]]と出会い彼女を保護している。その後モビルスーツの[[テストパイロット]]として軍に復帰、ミノフスキー博士亡命事件の際には史上初となるモビルスーツ同士の戦闘にも参加している。
 
 
=== 一年戦争前半 ===
 
宇宙世紀0079年1月、[[地球連邦]]政府との「一年戦争」が勃発。ドズル・ザビが率いる宇宙攻撃軍に所属し、モビルスーツのエースパイロットとして活躍。愛機[[初期量産型ザクII]](型式番号:MS-06C)をパーソナルカラーである赤に塗装し、[[ルウム戦役]]ではたった一人で5隻もの戦艦<ref>この5隻には厳密に戦艦である[[マゼラン級宇宙戦艦]]だけでなく、[[サラミス級宇宙巡洋艦]]その他大型戦闘艦艇も混じっていた可能性がある。現実世界においてもこのような兵器種別のいい加減な混同はよくあることである。よって、キャッチーなコピーとして「5隻の戦艦」と流布されていた可能性や、ジオン公国による宣伝活動の結果である可能性も否定できない。いずれにしても現実世界に当てはめてみれば超人的な戦果である事は間違いない。</ref>を沈め、「シャアの五艘飛び」と賞賛されるとともに'''赤い彗星'''の異名を得、その名は連邦軍の末端兵士にまで轟き恐怖の存在となる(この伝説に関しては諸説あり、彼の戦功を妬む者達はより戦果を低く見積もる傾向にある)。またこの功績により[[中尉]]から[[少佐]]に[[二階級特進]]する。
 
 
その後、ドズルがルウム戦役で旗艦としていた[[ムサイ]]級旗艦型軽巡洋艦[[ファルメル]]を受領し、モビルスーツ中隊長の任に付いた。乗機も[[量産型ザクII]](型式番号:MS-06F)、[[指揮官用ザクII]](型式番号:MS-06S)とその時々の最新機種が与えられ、「通常の三倍の速度」の性能を引き出すと恐れられた。
 
 
=== 一年戦争後半(『機動戦士ガンダム』) ===
 
同年9月、[[サイド7]]で連邦軍が極秘にモビルスーツと新艦を開発しているとの情報をつかむ。偵察に出した部下が、ザクもろとも[[ガンダム]]に撃破(史上初となる武装モビルスーツ同士の戦闘)されると、自らコロニーに潜入し[[ホワイトベース]]に避難し従軍していた妹のアルテイシア([[セイラ]])と再会、そして生涯のライバルとなる[[アムロ・レイ]]のガンダムと初対決を繰り広げる。この時シャアは始終アムロを圧倒するものの、ガンダムを目のあたりにしその性能に驚嘆する<ref>戦闘自体は圧倒していたものの、ザクマシンガン及び白兵戦闘ではガンダムの装甲を破壊することは困難であった</ref>。その後、ホワイトベースとガンダムの奪取もしくは破壊を命じられ、サイド7を脱出したホワイトベースを追跡。ホワイトベースの逃げ込んだ連邦軍宇宙要塞[[ルナツー]]へ潜入し破壊工作を行うなど、幾度となく攻撃を仕掛けるが失敗。多数の部下とザクを失う。しかし、ホワイトベースの大気圏突入を狙った奇襲の際、友軍を壊滅させられながらもジオン勢力下に降下させることに成功する。
 
 
地球降下後シャアは幼馴染のガルマ・ザビと共にホワイトベースの撃破を目指し、共闘するがザビ家への遺恨はけっして忘れようとせず隙を見て彼を謀殺する。そのさい敵のホワイトベースとガンダムを利用している。ガルマの死は彼を溺愛していたドズルの怒りを買い、ガルマを守れなかった責任により宇宙攻撃軍を罷免、左遷される。なお、この頃にはすでにキシリアからの使いが彼と接触している。
 
 
: 富野の原作では左遷され各地を転々としていた際、[[インド]]にて[[ララァ・スン]]と出会い、[[ニュータイプ]]の素質を見いだしたとされる。このことについては富野由悠季著の小説『[[密会〜アムロとララァ]]』にて詳しく書かれている。シャアは、ララァの中に見出した母性に思慕の情を抱くと共に彼女を寵愛し、また優れたニュータイプである彼女を傍に置くことによって、自分の感覚を研ぎ澄ませようとした。しかし、後に[[パプテマス・シロッコ]]に「ニュータイプのなりそこない」と言われたように(能力が劣っているという意味かどうかはわからないが)、アムロにニュータイプとしての能力に差をつけられるようになり、またララァもそのアムロとより強く惹かれ合うようになる。シャアはそのことに対して嫉妬を覚え、後述するように、やがて三者は悲劇的な結末を迎えることになる。
 
 
同年11月、キシリア・ザビの手解きでキシリア率いる突撃機動軍に編入、[[大佐]]昇進とともに[[マッドアングラー隊]]の司令に就任する。[[ベルファスト]]および[[大西洋]]上でのホワイトベース隊との戦闘(シャア自身は攻撃には直接参加していない)の後、追尾し、連邦軍本部がある[[ジャブロー]]への進入口を発見。この情報をもとにジオン軍はジャブローへ総攻撃を仕掛けるが、連邦軍とホワイトベース隊の反撃に遭い、失敗に終わる。シャア自身は潜入部隊をのせた[[アッガイ]]数機を率いて(目立つ赤いパーソナルカラーの[[ズゴック]]に搭乗し、いつもの軍服のまま)ジャブローへと潜入。破壊活動を行っていた際に偶然セイラと二度目の再会を果たし、彼女に軍から離れるよう諭して別れる。この後連邦軍守備隊と交戦し彼らを圧倒するものの、アムロのガンダムとの戦闘で腕部を破壊され、バランサーに不具合が生じたため撤退。ガンダムのパイロットの成長に驚きながらジャブローを後にする。
 
 
: 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、オデッサとジャブローのエピソードが前後した関係でシャアの遍歴も変化している。ガルマ戦死の責により除隊した後、ジャブロー近辺でキシリアに捕えられ、原隊復帰の交換条件としてジャブローへの突破口を開く事を申し出る。ジャブロー反対派の原住民の手引きによりジャブローへ潜入、攻撃隊を侵攻させる事に成功する。その後マッドアングラー隊を率いてベルファストへ向かうホワイトベースを追い、再度赤いザクでガンダムに挑むも撃破されて脱出、マッドアングラー隊も解散したためオデッサでは不参戦となった。
 
 
同年12月、ホワイトベースを追って[[ザンジバル]]で地球を離脱。かつての部下ドレンの率いるキャメル艦隊と共にホワイトベースを挟撃しようとするが、同艦隊はシャアが駆けつける前に全滅。シャアのザンジバルも攻撃を開始するものの被弾し、撃破にはいたらなかった。サイド6においてアムロと初めて直接対面するが、シャアは彼がガンダムのパイロットである事に気づかなかった。12月末、テキサスコロニーで[[マ・クベ]]とアムロの戦いを見る。マ・クベが敗れるのを見届けた後、アムロと交戦するも撤退する。この頃からニュータイプに覚醒しつつあるアムロに一方的にやられるようになる。またテキサスでは、セイラとも再会し、自分の形見として金塊を贈る。その後、ララァ・スンの[[モビルアーマー]]・[[エルメス]]と共に出撃するがアムロには敵わず、ララァは、ガンダムのビームサーベルからシャアをかばい戦死する。この出来事はシャアとアムロの大きな遺恨となり、その後の二人の人生と、彼らの間の確執を決定づける。
 
 
[[宇宙要塞]][[ア・バオア・クー]]での決戦では、彼もニュータイプとして覚醒してきたためかモビルスーツ・[[ジオング]]でガンダムと互角に戦い相討ちになる。そして要塞内部でアムロと生身で戦うが駆けつけたセイラの説得中に爆発に巻き込まれ、戦いは中断される。この戦いでアムロの剣を額に受け(ヘルメットを被っていたため致命傷は免れる)、その傷跡は第二次ネオ・ジオン抗争で消息不明になるまで消えることは無かった。そして、やはりザビ家の人間を許せぬと判断したシャアはバズーカを持ってキシリアの元へ。要塞から脱出し始めたザンジバルの司令室にキシリアがいることを知ると、船外から指令室の真正面に飛び立ち、指令席に座ったキシリアに敬礼をする。キシリアはシャアを確認するのだが、その直後にシャアにバズーカで狙撃されて頭を吹き飛ばされてしまう。その後シャアは生死不明となる。劇場版『[[機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編]]』では、キシリア殺害後に敗残兵とともに要塞を脱出、[[グワジン]]級戦艦に乗り逃亡している。
 
 
=== ア・バオア・クー脱出 ===
 
ア・バオア・クーからの脱出に関しては、1986年に[[勁文社]]より発売された[[山口宏]]著のゲームブック『[[機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星]]』と、漫画『[[機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像]]』にて詳しく描かれているが、いずれも解釈は異なる。[[一年戦争#星一号作戦(ア・バオア・クー攻略戦)|ア・バオア・クー攻略戦]]の時点における[[マ・クベ]]の生死から、前者はテレビアニメ版を、後者は劇場版をベースにしている。
 
 
: 『最期の赤い彗星』では数人の部下と共にマ・クベの旗艦アサルムを奪取しア・バオア・クーを脱出。キシリアの腹心である[[トワニング]]の送り出す[[ペズン計画|ペズンモビルスーツ]]の追撃をかわしながら[[グラナダ]]を経由してアクシズに向かっている。対して、『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、マ・クベと協力してミネバ・ザビを警護しながらア・バオア・クーを脱出し、直接アクシズへ向かっている。
 
 
: 逃亡に使用したグワジン級は、『めぐりあい宇宙編』の絵コンテではグワランとされるが、『最期の赤い彗星』ではアサルムとされ、[[ラポート]]発行の書籍『機動戦士Ζガンダム大辞典』でもこちらの説を採っている。
 
 
: また、[[岩田和久]]著の漫画『機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者』([[講談社]]発行の漫画雑誌『ガンダムマガジン』2号に収録)によれば、ア・バオア・クー脱出の際にガンダムの破片を持ち帰っており、後に[[ガンダリウム合金#ガンダリウムγ|ガンダリウムγ]]の開発に寄与することとなる。
 
 
=== アクシズ時代 ===
 
宇宙世紀0081年3月、一年戦争の終結の後に連邦に投降しなかった残軍の最大のグループであるシャア達は、[[火星]]と[[木星]]の間([[小惑星帯|アステロイド・ベルト]])にある、小惑星基地[[アクシズ]]へ逃亡、潜伏する。ここでミネバを補佐していたニュータイプの少女[[ハマーン・カーン]]と恋仲になる。
 
 
: 宇宙世紀0083年頃にはアクシズが地球連邦軍による襲撃を受け、戦闘に参加している。このことは[[近藤和久]]著の漫画『JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083』(単行本『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に収録)や『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて描かれているが、いずれも解釈は異なる。
 
 
宇宙世紀0083年8月、指導者であったハマーンの父[[マハラジャ・カーン]]が死没すると、その後継者としてハマーンを推挙する。ハマーンがミネバの摂政に就任してザビ家の再興を進めるが、2人は政治的に意見が対立するようになり、ついに地球圏の偵察を名目にアクシズを離れる。
 
 
: アクシズ離脱については『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』でも描かれている。[[水原賢治]]の漫画『機動戦士ガンダム0084 Psi-Trailing』([[バンダイ]]発行の雑誌『MS SAGA』2号に収録)でも描かれているが、公式設定とは矛盾がある。
 
 
=== エゥーゴ結成時代~第一次ネオ・ジオン抗争及びそれ以降 ===
 
{{Main|クワトロ・バジーナ}}
 
 
=== 第二次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』) ===
 
宇宙世紀0092年12月、新生[[ネオ・ジオン]]の総帥シャア・アズナブル(小説ではシャア・ダイクンとも名乗っている)として再び姿を現し、幾度にも渡る戦争を経験しながら、旧態依然としてスペースノイドに弾圧を続ける地球連邦政府に対しての攻撃を示唆する。ここでもジオン・ダイクンの遺児にして旧ジオンのエース「赤い彗星」でもあった彼の名声は絶大で、旧ネオ・ジオン軍の残党や、[[ナナイ・ミゲル]]、[[ギュネイ・ガス]]等の優秀な士官を集め、小規模であるが精鋭ともいえる戦力を保持する。そして、しばらく戦火から遠ざかっていた連邦政府に対し、自らの艦艇をもって地球圏に[[スウィート・ウォーター]]の占拠を宣言する。
 
 
宇宙世紀0093年2月末、テレビのインタビューで連邦政府に事実上の宣戦布告をする。
 
 
同年3月、艦隊を率いてスウィート・ウォーターを出発。[[アムロ・レイ]]や[[ブライト・ノア]]が所属する連邦軍・外郭新興部隊「[[ロンド・ベル]]」の抵抗に遭うものの、自らモビルスーツ・[[サザビー]]で出撃し、小惑星5thルナを連邦軍本部所在地であるチベットの[[ラサ]]に落下させることに成功する。
 
 
その後、サイド1の[[ロンデニオン]]にて連邦軍高官[[アデナウアー・パラヤ]]と、武装解除を条件に[[アクシズ]]を譲り受けるという偽の和平交渉を行うと、直ちに[[ルナツー]]を強襲し配備されていた[[核兵器]]を奪取。そして、地球に[[核の冬]]をもたらすべく、地球へのアクシズ落としを決行する。アクシズを守るため、自分を慕う[[クェス・パラヤ]]も戦わせるなどロンド・ベルと必死の激戦を繰り広げる。
 
 
宇宙世紀[[0093年]]3月12日、[[νガンダム]]を駆るアムロと最後の決着をつけるべくサザビーで戦うが敗れる。その際、脱出ポッドを捕まえられ、アクシズの落下を抑えるアムロと共にサイコフレームの光の中に消えていく。そしてアクシズは軌道を変え、作戦は失敗に終わる。その後の二人の行方は一切不明とされている(劇中でアムロとシャアの最期が描かれていない為「行方不明」とされているが、後の富野と古谷徹との対談では、富野が「死にましたよ」と両者の死を広言している)。
 
 
== シャアを取り巻く人々 ==
 
: シャアは、そのずば抜けた実力で部下からは絶対的な信頼と畏怖を受けており、後にはその出自も加わって絶大カリスマ性をも身につけている。これによって第二次ネオ・ジオン抗争では多くの新生ネオ・ジオン兵士を魅了した。
 
: シャアが消息を絶ってからも彼の影響は少なからず残り、特にスペースノイドの間にはシャアを連邦の圧政に対抗した英雄と見なす傾向もあった。これを元にした富野の小説があり、『[[機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ]]』ではシャアの思想を受け継ぐ[[マフティー・ナビーユ・エリン]]なる人物が登場する。<ref>皮肉にもその正体はブライトの息子[[ハサウェイ・ノア]]であった。</ref>また、『[[機動戦士ガンダムユニコーン]]』では、「シャアの再来」と呼ばれるフル・フロンタルが登場。素顔や口調はシャア・アズナブルに酷似しており、額にはシャアが一年戦争終盤アムロによってつけられた傷と同様の傷跡がある。一方でフロンタル本人はシャアを「敗北した人間」と称する。
 
 
== 主な搭乗機 ==
 
'''[[機動戦士ガンダム]]'''
 
* MS-06S [[指揮官用ザクII]](シャア専用ザク)
 
* MSM-07S [[ズゴック後期型]](シャア専用ズゴック)
 
* YMS-14 (MS-14S) [[ゲルググ先行量産型]](シャア専用ゲルググ)
 
* MSN-02 [[ジオング]]
 
* その他
 
** [[ルッグン]](第11話にて)
 
** MS-05 [[ザクI|旧ザク]](専用機、漫画『THE ORIGIN』に登場)
 
** YMS-07B [[グフ]](専用機、絵本版に登場)
 
** MS-09RS [[リック・ドム ビームバズーカ試験型]](専用機、小説版に登場)
 
** MSM-04 [[アッガイ]]([[岡崎優]]の漫画版『[[機動戦士ガンダム (冒険王版)|機動戦士ガンダム]]』に登場)
 
** [[キケロガ]](トミノメモより)
 
** MAX-03[[アッザム]](「トミノメモ」より。宇宙仕様、キシリアと同乗)
 
** MS-17 [[ガルバルディα]] (「トミノメモ」より)
 
** [[ガラバ]](「トミノメモ」より)
 
 
'''[[機動戦士Ζガンダム]]'''
 
* RMS-099 [[リック・ディアス]]
 
* RX-178 [[ガンダムMk-II]]
 
* MSN-00100 [[百式]]
 
 
'''[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]'''
 
* MSN-04 [[サザビー]]
 
** MSN-04-2 (MSN-04II) [[ナイチンゲール]](小説『[[ベルトーチカ・チルドレン]]』に登場)
 
 
'''その他'''
 
* モビルスーツバリエーション ([[MSV]]) (設定のみ)
 
** MS-06C [[初期量産型ザクII]](専用機)
 
** MS-06F [[量産型ザクII]](専用機)
 
* [[機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星]](ゲームブック)
 
** MS-06R-2 [[高機動型ザクII 後期型]]
 
** MS-09R [[リック・ドム]]
 
* [[機動戦士ガンダム THE ORIGIN]](漫画)
 
** [[ガンタンク]]
 
* [[機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像]](漫画)
 
** [[ゼロ・ジ・アール]]
 
** MS-14U [[ゲルググ (外宇宙用)]]
 
** [[パーフェクト・ジオング]]
 
* JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083
 
** MS-15PLUS (MS-15S) [[ギャンEX]]
 
* 大河原邦男コレクション ([[M-MSV]]) (小説『モビルスーツコレクション・ノベルズAct.5 宿敵の幻影』に登場)
 
** RX-098 [[プロトタイプ・リック・ディアス]](シミュレーター)
 
* [[機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者]](漫画)
 
** MSA-099-2 [[リック・ディアスII]]
 
* [[サイドストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ]](漫画)
 
** MSN-00100R [[百式改]]
 
* [[機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス]](漫画)
 
** [[スザク]] (S・ザク・ザクIII 改・改)
 
など、例を挙げればきりがない。
 
 
また、以下のようにシャア専用機として開発されたが実際に搭乗していないとされるものもある。
 
* [[SDガンダム GGENERATION]]シリーズ(ゲーム)
 
** AMA-002S [[ノイエ・ジールII]]
 
* 機動戦士ガンダムΖΖ
 
** RMS-099B (RMS-099RS) [[シュツルム・ディアス]]
 
 
さらに、以下のようなif設定(架空戦記設定)も存在する。
 
* [[機動戦士ガンダム ギレンの野望]]シリーズ(ゲーム)
 
** YMS-15 (MS-15S) [[ギャン先行量産型]](専用機)
 
** RX-78/C.A. [[キャスバル専用ガンダム]]
 
 
== 主な搭乗艦 ==
 
'''『機動戦士ガンダム』'''
 
* [[ファルメル]](シャア専用ムサイ、専用艦として)
 
* [[マッド・アングラー]](艦隊旗艦として)
 
* [[ザンジバル]](専用艦として)
 
 
'''『機動戦士Ζガンダム』'''
 
* [[アーガマ]](搭乗員として)
 
* [[ラーディッシュ]](搭乗員として)
 
* [[アウドムラ]](搭乗員として)
 
 
'''『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』'''
 
* [[レウルーラ]](艦隊旗艦として)
 
 
== ギャラリー ==
 
=== 機動戦士ガンダム ===
 
 
<gallery>
 
<gallery>
  +
infobox_シャア01.jpg|マスク
char.gif
 
  +
infobox_シャア02.jpg|素顔
Char4.gif
 
Char2.gif
 
Char3.gif
 
 
</gallery>
 
</gallery>
  +
|生年月日 = 宇宙世紀0059年11月17日<br>または9月27日
  +
|年齢 = 20歳(一年戦争時)
  +
|性別 = 男性
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|身長 = 175cm(一年戦争時)<br />180cm(Zガンダム以降)
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|体重 =
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|血液型 = AB型
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|出身 = ジオン共和国
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|所属 = ジオン公国軍
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|階級 = 少佐(初登場)→<br>大佐(復帰後)→<br>大尉(グリプス戦役)→<br>大佐(第2次ネオ・ジオン戦争)
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|種別 = [[ニュータイプ]]
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|家族 = [[ジオン・ズム・ダイクン]](父)<br />トア・ダイクン(母)<br>アルテイシア・ソム・ダイクン(妹)
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|声優 = 池田秀一<br>田中真弓(幼少期)<br>小西克幸(ガンダムさん)
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|別名 = キャスバル・レム・ダイクン(本名)<br>
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エドワウ・マス<br>クワトロ・バジーナ
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|通称 = 赤い彗星
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|主な搭乗機体 = [[MS-06S 指揮官用ザク]]<br>(シャア専用ザク)
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|主な登場作品 = [[機動戦士ガンダム]]
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|ギャラリー = [[{{PAGENAME}}/ギャラリー|画像ギャラリー]]
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|名言集 = [[{{PAGENAME}}/名言集|名言集]]
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}}<nowiki/>'''<nowiki/><nowiki/>'''<nowiki/>''<nowiki/>''<nowiki/>'''シャア・アズナブル(Char Aznable)'''は、アニメ'''『[[機動戦士ガンダム]]』'''を始め、'''ガンダムシリーズ'''に登場するキャラクター。『'''赤い彗星'''』の異名で呼ばれるジオン軍士官。本名は'''キャスバル・レム・ダイクン(Casval Rem Deikun)'''。『'''[[機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア]]'''』では'''エドワウ・マス(Edwow Mass)'''を名乗り、'''『[[機動戦士Zガンダム]]』'''では'''クワトロ・バジーナ(Quattro Vageena)'''を名乗る。
   
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==人物==
=== 機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像 ===
 
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CharAznableaxis.gif
 
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==経歴==
=== 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ===
 
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==搭乗機==
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;機動戦士ガンダム
char5.gif|軍服1
 
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*[[MS-06S 指揮官用ザクII]] (シャア専用ザク)
char6.gif|軍服2
 
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*[[MSM-07S ズゴック後期型]] (シャア専用ズゴック)
char7.gif|ノーマルスーツ
 
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*YMS-14 (MS-14S) ゲルググ先行量産型(シャア専用ゲルググ)
char8.gif|私服1
 
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*[[MSN-02 ジオング]]
char9.gif|私服2
 
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*[[コムサイ]]
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*[[ルッグン]]
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*[[MS-05B ザクⅠ|MS-05 旧ザク]]
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*[[YMS-07B グフ]]
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*MS-09RS リック・ドム ビームバズーカ試験型
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*[[MSM-04 アッガイ]]
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*[[MSN-00 キケロガ]]
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*[[MAX-03 アッザム]]
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*[[MS-17 ガルバルディ]]
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*ガラバ
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;機動戦士Ζガンダム
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*[[RGM-079 ジム]]
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*[[RMS-099 リック・ディアス]]
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*[[RX-178 ガンダムMk-II]]
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*[[MSN-00100 百式]]
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;機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
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*[[MSN-04 サザビー]]
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*[[MSN-04-2 ナイチンゲール]](ベルトーチカ・チルドレン)
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==類似したキャラクター==
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シャア・アズナブルというキャラクターの印象は非常に強く、後のガンダムシリーズにも彼の特徴の一部あるいは多くを併せ持ったキャラクターが多数登場している。すなわち「仮面をかぶった謎の人物」「強固な信念と冷徹さを併せ持った男」「赤いモビルスーツに乗るライバル」といったキャラクター達である。
  +
====ガンダム以前の作品における例====
  +
シャア自身の原点としては『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキン、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の大将軍ガルーダ、『超電磁マシーン ボルテスV』のプリンス・ハイネル、『闘将ダイモス』のリヒテル提督が挙げられる。なお、これらのキャラクターを演じた声優市川治は、当初シャア役にほぼ決まりかけていた<ref>池田秀一の自伝『シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星』によれば、広告代理店やプロデューサー、スポンサーも了承済みであり、それが覆ったのは音響監督の松浦典良の強力な推しによるものだったらしい。</ref>。
  +
====ガンダムがシリーズ化される以前における例====
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;聖戦士ダンバイン
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:ガンダムがシリーズ化される以前の人物で最もシャアに似ているのは、『聖戦士ダンバイン』に登場するバーン・バニングスである。バーンは当初、主人公のライバルとして活躍し、失脚後は「黒騎士」という正体を隠した仮面の男として登場した。
  +
;モビルスーツバリエーション
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:アニメ『機動戦士ガンダム』には、シャア以外にはパーソナルカラーを持つエースパイロットは存在しなかった(ランバ・ラルや黒い三連星は量産機と同じカラーリング)。そのため、シャア以外にパーソナルカラーをもつ人物として初めて設定されたのは、『モビルスーツバリエーション』の[[ジョニー・ライデン]]である。ジョニー・ライデンは赤い機体に乗ったためにシャアと誤認されたといわれ、その設定が人気を博した。プラモデルがアニメの登場人物である黒い三連星の機体の売り上げを超えてしまったことにより、その後も『モビルスーツバリエーション』をはじめとする各作品でパーソナルカラーをもつ人物が多数設定されるようになった。のちに[[グフ]]や[[ドム]]も、試験機はランバ・ラルや黒い三連星のパーソナルカラーであったものを量産機に制式採用した、という設定が付け加えられている。
  +
====宇宙世紀における例====
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;機動戦士ガンダムUC
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:『[[機動戦士ガンダムUC]]』に登場するネオ・ジオン軍の首魁であるフル・フロンタルは「シャアの再来」と呼ばれる。シャアと同じく仮面をつけ、赤いモビルスーツシナンジュを駆る。素顔や声、口調もシャアに酷似しており、自らを「ジオンの理想を受け継ぐものたちのための器」と定義し、望まれればシャア・アズナブルとなる、と発言している。劇中でのシャアとの類似性が最もはっきりしている人物であり、「シャア本人ではないのか」という疑惑も示唆されている。なおアニメ版ではシャアと同じ池田秀一が演じている。
  +
;機動戦士ガンダムF91
  +
:『[[機動戦士ガンダムF91]]』に登場する仮面の男は「鉄仮面」の異名を持つ強化人間カロッゾ・ロナで、素手でモビルスーツのハッチをこじ開ける上、ノーマルスーツなしで宇宙空間に出られる怪人物であった。[[クロスボーン・バンガード]]を率い連邦に抗した。なお、仮面の将校ではないが特徴的な眼帯と黒のパーソナルカラーを持ち、クロスボーン・バンガードに属しながら必ずしもその命令に服しないザビーネ・シャルも、シャアの立ち位置に近い存在と言える。彼は機体を黒く染めたエリート部隊「ブラックバンガード」を率いるエースパイロットであった。
  +
; 機動戦士クロスボーン・ガンダム
  +
: 『[[機動戦士クロスボーン・ガンダム]]』に登場した新生クロスボーン・バンガードのエースパイロット[[シーブック・アノー|キンケドゥ・ナウ]](シーブック・アノー)とトビア・アロナクスの関係はシャアとカミーユ・ビダンの関係に似ている(キンケドゥに関しては偽名を使っている事、一時期マスクをつける事も類似点といえる)。ただし、キンケドゥはシャアとは違い、最後まで「大切な人を守りたい」という確固たる信念を貫き、トビアもカミーユに比べると明るく、またニュータイプ論者としては今までのニュータイプとは違う方向に道を見出した。
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;機動戦士Vガンダム
  +
:『[[機動戦士Vガンダム]]』に登場したザンスカール帝国のクロノクル・アシャーも赤をパーソナルカラーとし、(地球上では)常に白いマスクを付けていた。しかし、クロノクルは地球の大気を「埃っぽい」と嫌っている描写もあることから、頭と目周り以外を覆うデザインや用途からしても、むしろキシリア・ザビのものに似ている。
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====宇宙世紀以外における例====
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;機動武闘伝Gガンダム
  +
:『[[機動武闘伝Gガンダム]]』のガンダムファイトにおいては、ネオドイツ代表シュバルツ・ブルーダーがドイツ国旗風の配色の覆面を付けて登場し、[[キョウジ・カッシュ|その正体]]を隠しつつ他の登場人物を叱咤していた。
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;新機動戦記ガンダムW
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:『[[新機動戦記ガンダムW]]』では、書籍「[[モデルグラフィックス]]」の見解によれば、[[ヒイロ・ユイ]]、[[ゼクス・マーキス]]、[[トレーズ・クシュリナーダ]]がいずれもシャアの側面を受け継いでいると考えられている。中でも仮面の男・ゼクス・マーキスはシャアと設定や行動が酷似し、偽名を使ったこと、そしてその妹[[リリーナ・ドーリアン]]の存在も、シャアとセイラの関係に酷似している。また地球に絶望して「地球に何かを落とそうとした」というのは[[アクシズ]]落としを彷彿させ、共通点が見られる。ただし、ゼクスは最終的にはシャアとは逆に人類に救いを見出した。また、女性関係も多様なシャアとは異なり[[ルクレツィア・ノイン]]くらいしか相手が出てこなかった。
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;機動新世紀ガンダムX
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:『[[機動新世紀ガンダムX]]』の[[ランスロー・ダーウェル]]と[[ジャミル・ニート]]の関係は、乗機の[[フェブラル]]と[[ガンダムX]]も含めシャアとアムロのオマージュであるが、第7次宇宙戦争で死闘を繰り広げてから15年後、ジャミルの真意を知ったランスローは敵ながら彼や[[ガロード・ラン]]に協力するようになった。ジャミルはアムロに近い側面を持つキャラクターであるが、サングラスを着用しているなどシャアに類似した特徴もあわせ持っている。
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;∀ガンダム
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:『[[∀ガンダム]]』の[[ハリー・オード]]は赤いサングラスを着用し、金色の専用機に乗るエースパイロットであるが、主人公と敵対関係になることは少なかった。また、[[コレン・ナンダー]]はガンダムを目の仇にし、赤をパーソナルカラーとしているなど、シャアとの関連を想像させる演出がなされている。
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;機動戦士ガンダムSEED
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:『[[機動戦士ガンダムSEED]]』では[[コーディネイターとナチュラル]]の最終戦争を引き起こそうとした[[ラウ・ル・クルーゼ]]が素顔を隠すための仮面を付け続けていた。『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』では新たな仮面の男[[ムウ・ラ・フラガ#ネオ・ロアノーク|ネオ・ロアノーク]]が正体不明の敵として登場した。また、赤いモビルスーツに乗るライバルとして[[アスラン・ザラ]]が挙げられる。彼の乗るガンダムの配色はシャア専用機のそれに近い。ただし劇中に登場した赤い[[ザクウォーリア|ザク]]は彼の搭乗機ではなく[[ルナマリア・ホーク]]専用機であった。さらに思想家としてシャアと類似する[[ギルバート・デュランダル]]が登場し、声も池田秀一が演じていた。
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;機動戦士ガンダム00
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:『[[機動戦士ガンダム00]]』ではシャアに近いキャラとして[[グラハム・エーカー]]が挙げられる。自信と高い戦闘力を兼ね備えており、敵対するガンダムに強い関心と興味以上の好意すら抱き、打倒ガンダムに燃える姿はどことなくシャアの存在を感じさせる。また劇中でシャアの名台詞「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的な差ではない」に似た発言をしている。作中後半ではそれまでの名前を棄てて仮面をつけ、「[[ミスター・ブシドー]]」と呼ばれ、よりシャアらしい立ち位置になった。ただし、ガンダムシリーズに登場する仮面のライバルキャラとは異なり、思想や立場においてシャアと類似点は殆ど見られない。この他、同作品に登場する“トランザムシステム”は、使用すると機体の色が赤く変色し、全ての機能が3倍になるなど、シャア専用機を連想させる。
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==トリビア==
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==脚注==
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===注釈===
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===出典===
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== 脚注 ==
 
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== 関連項目 ==
 
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[[カテゴリ:機動戦士Zガンダム]]
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[[カテゴリ:機動戦士Zガンダムの登場人物]]
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[[カテゴリ:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]
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[[カテゴリ:機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物]]

2020年1月24日 (金) 20:08時点における版

シャア・アズナブル(Char Aznable)は、アニメ機動戦士ガンダムを始め、ガンダムシリーズに登場するキャラクター。『赤い彗星』の異名で呼ばれるジオン軍士官。本名はキャスバル・レム・ダイクン(Casval Rem Deikun)。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア』ではエドワウ・マス(Edwow Mass)を名乗り、機動戦士Zガンダムではクワトロ・バジーナ(Quattro Vageena)を名乗る。

人物

経歴

搭乗機

機動戦士ガンダム
  • MS-06S 指揮官用ザクII (シャア専用ザク)
  • MSM-07S ズゴック後期型 (シャア専用ズゴック)
  • YMS-14 (MS-14S) ゲルググ先行量産型(シャア専用ゲルググ)
  • MSN-02 ジオング
  • コムサイ
  • ルッグン
  • MS-05 旧ザク
  • YMS-07B グフ
  • MS-09RS リック・ドム ビームバズーカ試験型
  • MSM-04 アッガイ
  • MSN-00 キケロガ
  • MAX-03 アッザム
  • MS-17 ガルバルディ
  • ガラバ
機動戦士Ζガンダム
  • RGM-079 ジム
  • RMS-099 リック・ディアス
  • RX-178 ガンダムMk-II
  • MSN-00100 百式
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • MSN-04 サザビー
  • MSN-04-2 ナイチンゲール(ベルトーチカ・チルドレン)

類似したキャラクター

シャア・アズナブルというキャラクターの印象は非常に強く、後のガンダムシリーズにも彼の特徴の一部あるいは多くを併せ持ったキャラクターが多数登場している。すなわち「仮面をかぶった謎の人物」「強固な信念と冷徹さを併せ持った男」「赤いモビルスーツに乗るライバル」といったキャラクター達である。

ガンダム以前の作品における例

シャア自身の原点としては『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキン、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の大将軍ガルーダ、『超電磁マシーン ボルテスV』のプリンス・ハイネル、『闘将ダイモス』のリヒテル提督が挙げられる。なお、これらのキャラクターを演じた声優市川治は、当初シャア役にほぼ決まりかけていた[1]

ガンダムがシリーズ化される以前における例

聖戦士ダンバイン
ガンダムがシリーズ化される以前の人物で最もシャアに似ているのは、『聖戦士ダンバイン』に登場するバーン・バニングスである。バーンは当初、主人公のライバルとして活躍し、失脚後は「黒騎士」という正体を隠した仮面の男として登場した。
モビルスーツバリエーション
アニメ『機動戦士ガンダム』には、シャア以外にはパーソナルカラーを持つエースパイロットは存在しなかった(ランバ・ラルや黒い三連星は量産機と同じカラーリング)。そのため、シャア以外にパーソナルカラーをもつ人物として初めて設定されたのは、『モビルスーツバリエーション』のジョニー・ライデンである。ジョニー・ライデンは赤い機体に乗ったためにシャアと誤認されたといわれ、その設定が人気を博した。プラモデルがアニメの登場人物である黒い三連星の機体の売り上げを超えてしまったことにより、その後も『モビルスーツバリエーション』をはじめとする各作品でパーソナルカラーをもつ人物が多数設定されるようになった。のちにグフドムも、試験機はランバ・ラルや黒い三連星のパーソナルカラーであったものを量産機に制式採用した、という設定が付け加えられている。

宇宙世紀における例

機動戦士ガンダムUC
機動戦士ガンダムUC』に登場するネオ・ジオン軍の首魁であるフル・フロンタルは「シャアの再来」と呼ばれる。シャアと同じく仮面をつけ、赤いモビルスーツシナンジュを駆る。素顔や声、口調もシャアに酷似しており、自らを「ジオンの理想を受け継ぐものたちのための器」と定義し、望まれればシャア・アズナブルとなる、と発言している。劇中でのシャアとの類似性が最もはっきりしている人物であり、「シャア本人ではないのか」という疑惑も示唆されている。なおアニメ版ではシャアと同じ池田秀一が演じている。
機動戦士ガンダムF91
機動戦士ガンダムF91』に登場する仮面の男は「鉄仮面」の異名を持つ強化人間カロッゾ・ロナで、素手でモビルスーツのハッチをこじ開ける上、ノーマルスーツなしで宇宙空間に出られる怪人物であった。クロスボーン・バンガードを率い連邦に抗した。なお、仮面の将校ではないが特徴的な眼帯と黒のパーソナルカラーを持ち、クロスボーン・バンガードに属しながら必ずしもその命令に服しないザビーネ・シャルも、シャアの立ち位置に近い存在と言える。彼は機体を黒く染めたエリート部隊「ブラックバンガード」を率いるエースパイロットであった。
機動戦士クロスボーン・ガンダム
機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場した新生クロスボーン・バンガードのエースパイロットキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)とトビア・アロナクスの関係はシャアとカミーユ・ビダンの関係に似ている(キンケドゥに関しては偽名を使っている事、一時期マスクをつける事も類似点といえる)。ただし、キンケドゥはシャアとは違い、最後まで「大切な人を守りたい」という確固たる信念を貫き、トビアもカミーユに比べると明るく、またニュータイプ論者としては今までのニュータイプとは違う方向に道を見出した。
機動戦士Vガンダム
機動戦士Vガンダム』に登場したザンスカール帝国のクロノクル・アシャーも赤をパーソナルカラーとし、(地球上では)常に白いマスクを付けていた。しかし、クロノクルは地球の大気を「埃っぽい」と嫌っている描写もあることから、頭と目周り以外を覆うデザインや用途からしても、むしろキシリア・ザビのものに似ている。

宇宙世紀以外における例

機動武闘伝Gガンダム
機動武闘伝Gガンダム』のガンダムファイトにおいては、ネオドイツ代表シュバルツ・ブルーダーがドイツ国旗風の配色の覆面を付けて登場し、その正体を隠しつつ他の登場人物を叱咤していた。
新機動戦記ガンダムW
新機動戦記ガンダムW』では、書籍「モデルグラフィックス」の見解によれば、ヒイロ・ユイゼクス・マーキストレーズ・クシュリナーダがいずれもシャアの側面を受け継いでいると考えられている。中でも仮面の男・ゼクス・マーキスはシャアと設定や行動が酷似し、偽名を使ったこと、そしてその妹リリーナ・ドーリアンの存在も、シャアとセイラの関係に酷似している。また地球に絶望して「地球に何かを落とそうとした」というのはアクシズ落としを彷彿させ、共通点が見られる。ただし、ゼクスは最終的にはシャアとは逆に人類に救いを見出した。また、女性関係も多様なシャアとは異なりルクレツィア・ノインくらいしか相手が出てこなかった。
機動新世紀ガンダムX
機動新世紀ガンダムX』のランスロー・ダーウェルジャミル・ニートの関係は、乗機のフェブラルガンダムXも含めシャアとアムロのオマージュであるが、第7次宇宙戦争で死闘を繰り広げてから15年後、ジャミルの真意を知ったランスローは敵ながら彼やガロード・ランに協力するようになった。ジャミルはアムロに近い側面を持つキャラクターであるが、サングラスを着用しているなどシャアに類似した特徴もあわせ持っている。
∀ガンダム
∀ガンダム』のハリー・オードは赤いサングラスを着用し、金色の専用機に乗るエースパイロットであるが、主人公と敵対関係になることは少なかった。また、コレン・ナンダーはガンダムを目の仇にし、赤をパーソナルカラーとしているなど、シャアとの関連を想像させる演出がなされている。
機動戦士ガンダムSEED
機動戦士ガンダムSEED』ではコーディネイターとナチュラルの最終戦争を引き起こそうとしたラウ・ル・クルーゼが素顔を隠すための仮面を付け続けていた。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では新たな仮面の男ネオ・ロアノークが正体不明の敵として登場した。また、赤いモビルスーツに乗るライバルとしてアスラン・ザラが挙げられる。彼の乗るガンダムの配色はシャア専用機のそれに近い。ただし劇中に登場した赤いザクは彼の搭乗機ではなくルナマリア・ホーク専用機であった。さらに思想家としてシャアと類似するギルバート・デュランダルが登場し、声も池田秀一が演じていた。
機動戦士ガンダム00
機動戦士ガンダム00』ではシャアに近いキャラとしてグラハム・エーカーが挙げられる。自信と高い戦闘力を兼ね備えており、敵対するガンダムに強い関心と興味以上の好意すら抱き、打倒ガンダムに燃える姿はどことなくシャアの存在を感じさせる。また劇中でシャアの名台詞「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的な差ではない」に似た発言をしている。作中後半ではそれまでの名前を棄てて仮面をつけ、「ミスター・ブシドー」と呼ばれ、よりシャアらしい立ち位置になった。ただし、ガンダムシリーズに登場する仮面のライバルキャラとは異なり、思想や立場においてシャアと類似点は殆ど見られない。この他、同作品に登場する“トランザムシステム”は、使用すると機体の色が赤く変色し、全ての機能が3倍になるなど、シャア専用機を連想させる。

トリビア

脚注

注釈

出典

  1. 池田秀一の自伝『シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星』によれば、広告代理店やプロデューサー、スポンサーも了承済みであり、それが覆ったのは音響監督の松浦典良の強力な推しによるものだったらしい。